伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
ライルは一応、従弟の姿を確認すると、叔父夫婦に言った。
「申し訳ありませんが、少しの間、クレアを預かって頂けませんか?」
事情を説明する。
「ああ、もちろん、構わないよ--」と、快く答えようとした子爵に対し、「ちょっと待ちなさい、ライル」と、横に立つ子爵夫人は異を唱える。
「さっきは、私からクレアを引き離そうとしたのに、都合の良い時だけ、頼みに来るのね」
クレアが思わずハラハラしてしまうような冷たい夫人の視線を、ライルは平然と受け流すと、
「そうですか。無理にとは言いません。他の信頼出来そうな方にお願いすることにします」
クレアの腕を引いて、その場を離れようとした。
「あ、ちょっと待ちなさい、ライル!」
先ほどと同じ言葉だが、全く違う口調で、夫人は慌ててライルを引き止めた。
「嘘よ! 嘘に決まってるでしょう。もう……すぐそんな意地悪言うんだから。顔がいくら良くても、そんなことじゃ、女の子達からモテないわよ」
夫人は口を尖らせる。
「構いませんよ。俺はクレアからの愛を受けられれば、それだけで幸せですので」
サラリと言ってのけるライルに、クレアは一瞬で頬を朱に染めた。
「……ああ、もう分かったから行きなさい。クレアのことは任せてちょうだい」
「ありがとうございます」
ライルは叔父夫婦に礼を言うと、「なるべく早く戻るから」と、クレアに伝えて、急いでダーリング氏の元へと戻っていった。
「申し訳ありませんが、少しの間、クレアを預かって頂けませんか?」
事情を説明する。
「ああ、もちろん、構わないよ--」と、快く答えようとした子爵に対し、「ちょっと待ちなさい、ライル」と、横に立つ子爵夫人は異を唱える。
「さっきは、私からクレアを引き離そうとしたのに、都合の良い時だけ、頼みに来るのね」
クレアが思わずハラハラしてしまうような冷たい夫人の視線を、ライルは平然と受け流すと、
「そうですか。無理にとは言いません。他の信頼出来そうな方にお願いすることにします」
クレアの腕を引いて、その場を離れようとした。
「あ、ちょっと待ちなさい、ライル!」
先ほどと同じ言葉だが、全く違う口調で、夫人は慌ててライルを引き止めた。
「嘘よ! 嘘に決まってるでしょう。もう……すぐそんな意地悪言うんだから。顔がいくら良くても、そんなことじゃ、女の子達からモテないわよ」
夫人は口を尖らせる。
「構いませんよ。俺はクレアからの愛を受けられれば、それだけで幸せですので」
サラリと言ってのけるライルに、クレアは一瞬で頬を朱に染めた。
「……ああ、もう分かったから行きなさい。クレアのことは任せてちょうだい」
「ありがとうございます」
ライルは叔父夫婦に礼を言うと、「なるべく早く戻るから」と、クレアに伝えて、急いでダーリング氏の元へと戻っていった。