伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
……どうしよう、入るタイミングが分からないわ……。

とりあえず、話題が変わるまで、ここで待機するしかなさそうだ。

だが、その後、応接間で続く話に、クレアは耳を疑った。

「レディ・シルビアの孫娘、か……。……ずっと連絡を取り合っていたそうじゃないか。お前が行方不明になったと聞いても、健気に帰りを待ち続けていたよ」

「はい。周りにも心配を掛けて、申し訳なく思っています」


……レディ・シルビアの孫娘、って……誰……?


クレアの表情が固まる。

しかし、次の瞬間、ライルの言葉がクレアの心を突き刺した。





「当然、彼女にも心配を掛けました。これからはずっとそばにいるつもりです。必ず、幸せにします」





……どういう……こと……?



クレアの心が、鉛のように重くなった。



……私じゃ……ないの……?



何も考えられなくなったクレアは、応接間に入ることなく、そのまま体を引きずるようにして、自室に戻っていった。





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