伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
談話室のドアがノックされ、ローランドが晩餐の時間になったことを告げに来た。再び二人で腕を組みながら、食堂へ向かった。
向かい合ってテーブルの席に着くと、スープから始まり、前菜、魚料理、肉料理など、次々と運ばれてきた。
フォークやナイフは外側から使うのは分かる。なるべく音を立てないように、神経を集中させ、ゆっくりと料理を口に運ぶ。どれも美味しくて、あっという間にクレアの胃袋を満たした。
ライルの方を見ると、フォークやナイフの運び、グラスを取る手つきなど、全ての所作が優雅で洗練されていて、やはり生まれつきの貴公子なのだと実感させられる。
まだ遠い存在だけど、たくさん練習して、ライル様の恥にならないような婚約者を演じるまでにならなくちゃ……。
食事のデザートは苺のタルトだった。苺ジャムの甘酸っぱい香りとサクサクのパイ生地が口の中でほどよく混ざり合い、何とも言えない幸せな気分になる。
そんなクレアを見て、ライルが目を細めて笑みを浮かべた。
「ずいぶんと楽しそうに食事をするんだね」
「はい。だって楽しいんです。誰かと食事をするのは久しぶりで」
「……久しぶり?」
「ええ。私、外で仕事をしてましたから、家族とは時間が合わなくて」
もちろん、理由は他にもあるが、余計なことは言わないことにした。
「……そうか……。じゃあ、これからはなるべく一緒に食事をしよう。俺も、この家にいる時はいつもこの広いテーブルに一人だったから。……君がいてくれて、今日は美味しかった」
一瞬、翠緑の瞳が揺れたような気がした。
向かい合ってテーブルの席に着くと、スープから始まり、前菜、魚料理、肉料理など、次々と運ばれてきた。
フォークやナイフは外側から使うのは分かる。なるべく音を立てないように、神経を集中させ、ゆっくりと料理を口に運ぶ。どれも美味しくて、あっという間にクレアの胃袋を満たした。
ライルの方を見ると、フォークやナイフの運び、グラスを取る手つきなど、全ての所作が優雅で洗練されていて、やはり生まれつきの貴公子なのだと実感させられる。
まだ遠い存在だけど、たくさん練習して、ライル様の恥にならないような婚約者を演じるまでにならなくちゃ……。
食事のデザートは苺のタルトだった。苺ジャムの甘酸っぱい香りとサクサクのパイ生地が口の中でほどよく混ざり合い、何とも言えない幸せな気分になる。
そんなクレアを見て、ライルが目を細めて笑みを浮かべた。
「ずいぶんと楽しそうに食事をするんだね」
「はい。だって楽しいんです。誰かと食事をするのは久しぶりで」
「……久しぶり?」
「ええ。私、外で仕事をしてましたから、家族とは時間が合わなくて」
もちろん、理由は他にもあるが、余計なことは言わないことにした。
「……そうか……。じゃあ、これからはなるべく一緒に食事をしよう。俺も、この家にいる時はいつもこの広いテーブルに一人だったから。……君がいてくれて、今日は美味しかった」
一瞬、翠緑の瞳が揺れたような気がした。