伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
「ライル様……」

これって、もちろん演技ですよね!?

ならばこちらも、とクレアも何か言葉を返そうと考えるのだが……何も思いつかない。

むしろ、恥ずかしさがこみ上げてきて、自分でも赤面していくのが分かる。

すると、ライルが耳元でささやいた。

「無理して何か言おうとしなくても、君はそのままでいいよ。言葉は無くても、その反応だけで充分効果があるから」

「……」

効果って何?と首をかしげたが、結局分からずじまいだった。






その日の夜、ドレッサーの前に座ったクレアの髪をとかしながら、ジュディが微笑む。

「クレア様は、本当に旦那様に愛されていらっしゃるのですね」

「えっ!?」

「 昼間のご様子で分かりましたよ。旦那様のお言葉に、クレア様はお顔を真っ赤にされて。本当にお二人とも仲睦まじくていらっしゃって、見ていて私も幸せな気分になりましたわ」

「……」

そこは見なくていいから……。

今頃になって、効果というのは、自分達が相思相愛である、と周囲に勘違いさせることだったのか、とクレアは気付いた。

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