伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
「……胸が苦しい……」

就寝前、自室のソファーに座り、背中を丸めるようにして小さくなりながらクッションを抱きかかえたクレアは、ポツリと声を漏らした。

テーブルの上で、クレアのためにハーブティーをカップに注いでいたジュディは、その呟きを聞くやいなや、顔色を変えて、すぐに隣にやって来た。

「クレア様、どこか具合がお悪いのですか……?」

「あ、ううん……何でもないの……」

クレアは急いで笑みを浮かべた。いつもそばに付いていてくれるジュディは、クレアのちょっとした変化も見逃さず、心配してくれる。

何だかくすぐったいような、嬉しさを感じる。

姉がいたら、こんな感じなのかもしれない、とクレアは思った。

「……ですが……」

「大丈夫。ありがとう」

今度は本当の笑みを浮かべて、クレアは差し出されたカップを手に取った。


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