にゃおん、とお出迎え

バタバタ走り回ってて、ゆっくりお話もしてないのに。
ああでも、お見送りくらいしよう。

そう思って玄関まで行ったら、ミネちゃんの姿はもうなかった。

「みゃーん」
なによう。もうちょっと待っててくれてもいいじゃない。

とぼとぼと戻ると、あたしの今日のご飯が置いてある。
ミネちゃんはお仕事してるから、一日分のご飯とお水を入れて出て行ってくれるの。
それをあたしが好きな時間に食べるんだけど。お水はね、いれたてのほうが美味しいんだよね。

「みゃ」

ぺろりとお水を舌ですくう。
美味しい。朝が一番美味しいなぁ。

あんなに忙しくても、あたしのご飯を置いていくのは忘れない。だからミネちゃんは、あたしのこと忘れているわけじゃない。

分かってる。けど、分かりたくない。

だってだって、あたしが寂しいのはなくならないもん。


「みゃー」


ミネちゃんと遊びたいんだよ。
あたし、ずっといい子にしてたもん。たまにはワガママ言ってもいいよね?

今日という今日は我慢ができなくなった。
そのまま、ベランダに出て隣の家の屋根にジャンプする。もうこの部屋を抜け出すのなんて、お手の物なんだから。


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