愛と音の花束を
□
週1回、オケの練習。
歯医者へは、週1回……はなかなか行けず、10日に1回くらいのペースになってしまっているけれど、
顔を合わせるたびに、
あー、好きだなぁ、
と思う瞬間が多くなり、
そんな久しぶりの感情を抱く乙女な自分を少しずつ受け入れられるようになってきた頃。
本番指揮者である早瀬先生と、ソリストを務める三神君との、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲初合わせがやってきた。
大部屋に漂うワクワク感。
対照的に、私は胃が痛い。
今までの定演の曲より技術的な難易度は低い分、表面上の仕上がりは早い。ただ、早瀬先生や三神君の求めるレベルにはまだまだ届かない。音楽的にどうこういう部分は、各自で体感してもらうしかない。
中間管理職ってこんな感じなんだろうか。
そんなことを考えながら壁際で楽器の準備をしていると、隣に三神君がやってきた。
挨拶の後、「永野さんにご報告があるんですが」と声をひそめて言う。
「何でしょう?」
三神君は弓に松脂を塗りながら、少しはにかむ。
もしや?
「彼女と正式に付き合うことになりましたので」
わぁ。それはそれは。
「よかったです。おめでとうございます。お幸せに」
心から、そう思った。
だけどそんなほんわかムードはすぐに消え去る。
彼の音出しが、いつもとは明らかに違っていたからだ。
これからたったひとりで50人と対峙する覚悟がひしひしと伝わってくる。
……私達は彼と同じ土俵で戦えるのだろうか。
週1回、オケの練習。
歯医者へは、週1回……はなかなか行けず、10日に1回くらいのペースになってしまっているけれど、
顔を合わせるたびに、
あー、好きだなぁ、
と思う瞬間が多くなり、
そんな久しぶりの感情を抱く乙女な自分を少しずつ受け入れられるようになってきた頃。
本番指揮者である早瀬先生と、ソリストを務める三神君との、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲初合わせがやってきた。
大部屋に漂うワクワク感。
対照的に、私は胃が痛い。
今までの定演の曲より技術的な難易度は低い分、表面上の仕上がりは早い。ただ、早瀬先生や三神君の求めるレベルにはまだまだ届かない。音楽的にどうこういう部分は、各自で体感してもらうしかない。
中間管理職ってこんな感じなんだろうか。
そんなことを考えながら壁際で楽器の準備をしていると、隣に三神君がやってきた。
挨拶の後、「永野さんにご報告があるんですが」と声をひそめて言う。
「何でしょう?」
三神君は弓に松脂を塗りながら、少しはにかむ。
もしや?
「彼女と正式に付き合うことになりましたので」
わぁ。それはそれは。
「よかったです。おめでとうございます。お幸せに」
心から、そう思った。
だけどそんなほんわかムードはすぐに消え去る。
彼の音出しが、いつもとは明らかに違っていたからだ。
これからたったひとりで50人と対峙する覚悟がひしひしと伝わってくる。
……私達は彼と同じ土俵で戦えるのだろうか。