愛と音の花束を
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水曜日夜。
「こんばんは」
閉店準備をしている店に、那智がやってきた。
……会える嬉しさを噛み締めつつ、文句を言う。
「早いよ。まだ準備できてない」
「親御さんに挨拶しに来ただけ。待ってるから平気」
一緒にオケの練習に行って、そのまま一緒に那智の家に帰る。
会える日が少ないから、せめて少しでも長く一緒に過ごすための策。
「ああっ!イケメンピアニスト!」
ベテランパート、長谷川さんが叫んだ。
先日のアンサンブルコンサートに来てくれて、「三神君もかっこよかったけど、ピアニストもかっこよかった!」と興奮していた。
「えっ、何、店長の彼氏⁉︎」
「どうもこんばんは。椎名といいます。結花さんにはオケでお世話になってます」
「あらまぁ、どうも〜。ヴァイオリンソナタも、動物の謝肉祭も、素敵だったわ〜」
「おそれいります。何か手伝いましょうか?」
ちょっと待った。
「ピアニストが指痛めたら大変だから、いい。おとなしく車で待ってて」
「ヴァイオリントップがやってるんだから平気。あれ中に入れればいいんだ?」
那智は腕まくりをして、外の鉢植えを台車に載せて店内に運ぶ作業を手伝い始めた。
「あら、助かるわ〜。店長、彼氏待たせたらいけないから、もう出かける準備してきていいですよ」
みんなに半ば追い出される格好で、私は自宅の方に戻った。
出かける支度をして店に降りていくと、那智はすっかり両親と長谷川さんと打ち解けて談笑していた。
……ほっとしつつも、こういうのは初めてなので、何やら恥ずかしい。