おためしシンデレラ
震える手で投げ出されたバッグの中からスマホを取り出すけれどなかなか番号を押すことが出来ない。
三村は自分のネクタイと中田自身のジャケットで手足を拘束してから莉子の手からスマホを取り上げ電話をかけた。
三村が莉子の惨憺たる格好を見て自分のジャケットを脱ぎそれで莉子を包む。
平手で殴られた頬をそっと触り、労るように指でなぞった。
程なく警察が来て事情を聞かれ、警察官に捕らわれた中田が部屋を出て行く。中田は茫然自失だった。今更自分がやったことに恐れ戦いているのかもしれない。
「病院行くぞ」
三村に抱き上げられて部屋を出る。
「・・・・・社長、自分で歩けま・・・・・」
最後までいう前に三村が抱く腕に力を込めた。
温かい腕の中に囚われて、さっきまでの恐怖が去り、良かったという安堵が押し寄せる。同時に堰を切ったように涙が溢れてきた。
三村の首に縋り付き子供のようにしゃくり上げる。
泣くなとも、慰めも言わず無言で三村がエレベーターに乗り駐車場まで降り、莉子を車に乗せ、車の外で電話をかけ、運転席に乗り込んだ。