おためしシンデレラ


「失礼します」

肝心なことは何も言えずに社長室を出た。

仕事を終え、家に帰り着くと莉子はがっくりと座りこむ。真歩には体調が悪いので食事はパスすることをスマホのメッセージで伝えておいた。『お大事に』との返信もあった。


三村と真歩の食事に自分は余計なことくらいちゃんと自覚している。


社内で2人が歩いていると、あまりの完璧さにみんなが溜息をつく。

40前に社長もやっと年貢の納め時だななんて噂も流れている。

莉子の仕事の負担も減った。
真歩は莉子の代わりを充分に果たせるし、反対に真歩の代わりを莉子が務められるか不安なくらいだ。



なんでこんなに胸が痛いんだろう。

自分が望んだことなのに。


ゆっくりと立ち上がって冷蔵庫を開けるけれど、本当に胃もたれが酷くなって何にも口にしたくなかった。

せめてと思い、リンゴジュースを何とか1本お腹に入れてシャワーを浴びた。



少しまとまった休みを取った方がいいかもしれないなと思う。
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