おためしシンデレラ
「小魚とか牛乳を使った料理をたくさん作った方がいいですか?」
「・・・・・何でだ」
「カルシウムが足りないのかと」
三村が鋭い視線を莉子に向けるけれど、莉子も慣れたものでニッコリと微笑みかけた。
「いつからオレの会社で仕事が出来ない言い訳に子供が使えるようになった!」
「いつからウチの会社は病気の子供を抱える女子社員の遅刻を許してあげられないほど狭量になったんでしょう」
三村の視線が一段と鋭くなる。
「社長、病気の子供は保育園は預かってくれません。病気で苦しんでる子供を市ノ瀬さんが背負って出社すれば満足だったんですか?」
「そういう危機的状況に対応できるようにしておくことも大事やないのか」
「それはそうやと思います。市ノ瀬さんもいつもお願いする病気でも預かってくれるシッターさんに連絡したら今日は他の仕事でダメやったそうですよ。だから実家のお母さんに連絡して到着を待っているそうです」
「実家ってどこだ?」
「岡山やそうで片道2時間弱、10時半には出社できるそうです」