おためしシンデレラ
こういう人と結婚して、子供を産んで、そんな生活を夢見ていた筈なのに、何故かその姿を想像出来ない。
「莉子さん?」
ハッとして莉子が居住まいを正す。
「先日は失礼いたしました。本当に申し訳ありません」
深々と頭を下げる莉子に中田が慌てた。
「莉子さんは悪くないでしょう、三村さんが強引だっただけで」
「いえ・・・・・でも三村に見つかってしまったのはわたしの不注意ですから・・・・・」
「不注意ですか?」
「迂闊と言ってもいいかもしれません」
中田が吹き出す。
「莉子さん、三村さんに愛されてるんですね」
「あい・・・・・・・・・?」
「仕事を辞めさせない、ずっと傍に置きたいっていうのは愛でしょう?」
ペットに対するような愛ですけどね、と心の中で付け足す。
「妬けますね」
小さな声で紡がれた言葉がやけにハッキリと莉子の耳に届いた。
「あの・・・・・?」
カップを弄んでいた中田が目を莉子に向け、視線が絡む。
「僕は莉子さんを気に入っているので」