おためしシンデレラ


三村を見送り、莉子は帰途についた。

今晩は明日家に帰るために荷造りをしなくてはならない。ご飯も冷蔵庫にあるものでテキトーに済ませるつもりだった。

三村の家の最寄りの地下鉄駅の階段を上がり、マンションへと急ぐ。


「莉子さん」


後ろからかけられた声に振り向くと笑顔の中田がいた。


「あ・・・・・こんにちは」

「今日はスーパーでお買い物はないんですか?」

「はい」

「それやったら僕と夕飯を一緒にしませんか?近くに美味しいタイ料理の店があるんですよ」

日はとっぷり暮れて時分時。
夕飯の誘いは尤もだ。

けれど、莉子に恋愛感情がないのは明らかで、友人としてと言われても中田からは告白めいたことをされている以上気をもたせるようなことは良くないと思う。

「莉子さん?」

逡巡していると中田が少し焦れたように声をかけた。

「中田さん、お誘いは嬉しいのですが・・・・・」

さっきから考えていたことを正直に中田に話す。これから先も恋愛に発展する可能性がないことも。キツイかもしれないがそれが莉子の誠意だ。
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