イケメン貴公子のとろけるキス
「ミナ オリハラです。よろしくお願いします」
慌てて名乗る私に、ルカさんはニッコリ微笑んだ。
「さぁ、行きましょうか」
紛れもないクリアな日本語を聞いて、不安に包まれていた気持ちがほんのちょっと晴れていく。
慣れない外国にひとりというちょっとした恐怖体験は、おかげで少し影を潜めてくれた。
私の戸惑いが伝わったのか、彼はクスっと鼻に皺を寄せて優しく笑うと、スーツケースを左手で引き寄せ、右手で私をエスコートする。
さり気ない気配りが、女心をくすぐった。
「疲れていませんか?」
「はい、大丈夫です」
「すぐにホテルへご案内しますね、ミナさん」
初のひとり旅だから滞在期間は短くしようと、行きの飛行機は夜着、帰りの飛行機は朝発を選んでいたのだ。
今夜はホテルへ直行して、部屋でルームサービスでもとろうと考えていた。
「“ミナさん”だと、皆さんみたいだから、“ミナ”でいいです」