イケメン貴公子のとろけるキス

さすがは、日本人とのハーフだ。
目鼻立ちはハッキリしているけれど、西洋人に比べて凹凸の少ないアジア人の血でほどよく中和されて、その顔立ちは暑苦しさを感じさせない。
アッシュブラウンの柔らかそうな髪の毛で、端正な顔立ちが引き立てられていた。

思わずウットリしてしまう。

でも、どうして私のことがすぐにわかったんだろう。
見つめ返した、次の瞬間のことだった。


「Mi sei mancata.」


訳のわからない言葉とともに、強烈なハグがされ、頬と頬のキスの応酬がされた。

“ミ、ミセイ……マンカータ”?

なんて言ってるんだろう。
日本語はしゃべれるんじゃなかったけ?


「えっと……あの……」


どうしよう……。

初対面の日本人同士ではありえない状況に困惑してしまう。
慣れない習慣に、心臓が暴れ出した。

されるがままに身を任せていると、熱烈な歓迎の挨拶は終わったらしく、ようやく私の身体は解放された。
その瞬間、シトラス系の残り香が匂い立った。


「ルカ シモーネです」


低い声が、耳に心地いい。

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