イケメン貴公子のとろけるキス
◇◇◇
翌朝、定刻通りに鳴らされた部屋のチャイムにドアを開けると、ルカは昨夜と同じく人懐こい笑顔で右手を上げた。
「Ciao!」
指先を軽くヒラヒラなんて、すごく外国チックだ。
今日も熱烈なハグ攻撃かと身構えたけれど、軽めの挨拶にひとまずホッとする。
「チャ、チャオ……」
見よう見真似で手をひらりとやってみたものの、慣れない挨拶にはぎこちない笑みしか浮かべられない。
適応力の低さが恨めしかった。
「昨夜はよく眠れた?」
ルカが思わぬ急接近を試みる。
腰を屈めて私の顔を覗き込むから、「はい……」なんてか細く答えて一歩後退してしまった。
あんまり綺麗な顔は近づけてほしくない。
ただでさえルカの挙動にはドキドキさせられているのだから。
ぎこちない態度の私に、ルカは屈託のない笑みを絶やさず浮かべた。
「どこか行きたいところはある?」
下降していくホテルのエレベーターの中で、ルカは私に尋ねた。