イケメン貴公子のとろけるキス

「うーん……」


実は、ここローマへは下調べもほとんどしないまま来てしまった。
担当が国内旅行ということもあって、旅行会社にいながら海外のことには疎い。
ルカに任せておけば大丈夫という小夜さんの言葉を、そのまま忠実に守ってしまったのだ。
ガイドブックは一冊買い込んだけれど、それもペラペラとページをめくった程度だった。

意思がなさ過ぎると、彼に思われるかもしれない。
これぞ“THE 日本人”だと、心象を悪くしてしまうかも。


「それじゃ、ローマの王道をとりあえず案内しようかな」


あれこれ思い悩んでいると、ルカはさり気なく私の腰に手を回して軽く引き寄せた。
華麗な身のこなしは、さすがイタリア人だ。
きっと、女性の扱いも手慣れているに違いない。

でもそんな扱いに、私の方は“初めまして”状態。
全然慣れていなくて、ルカが近づく度に胸が高鳴る。

それでも、つい強張る身体を何とか操り、ルカのエスコートに身を任せた。

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