イケメン貴公子のとろけるキス

果たせないであろう未来の約束が、ルカの口から飛び出した。

今度っていつだろう。
素朴な疑問だった。

ルカは、この旅行中だけの私の案内人。
私が日本へ帰ってしまえば、それまでの間柄なのだろうから。

階段の遥か先を見ているような、ルカを眺める。
美しいという言葉がこれほどふさわしい横顔を私は知らない。

なんだか、わかってしまったような気がする。
日本人の女の子が、イタリアへ来てコロっと男の人に騙されてしまう理由が。
甘いマスクでドキドキする言葉をささやかれたり優しく扱われたりしたら、勘違いして当然だ。

現に私も、ルカにはどぎまぎし通し。
出迎えてくれたときから、今までされてきたことのないような扱いを受けて、気持ちがふわふわして、なんだかくすぐったい。

ボーっと見つめていると、不意にルカと目が合った。
慌てて逸らしたところで「上ろうか」と、今度は彼に手を取られた。

腰を引き寄せられるよりも、肩を抱き寄せられるよりも、手を繋ぐことのほうが存在をもっと身近に感じる。
急にルカとの距離が縮まったような気になって、周りの景色を見るよりも指先に神経がいってしまう。


「何段あるか、数えてみて」

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