イケメン貴公子のとろけるキス
ルカにそう言われてうなずいたはずが、階段の数なんて途中ですっ飛んでしまった。
「何段だった?」
上り切ったところで、ルカが答えを求めて小首を傾げる。
「えーっと……百段?」
適当な数を告げる私に、ルカはコロコロと転がるような小気味いい声で笑った。
別に数えられないわけじゃないのだから、そんなに笑わなくてもいいのに。
つい不満が顔を出す。
そもそもルカがいけないのだ。
イタリアでは異性の友達同士でも手をつなぐのかもしれないけど、日本でそんな習慣はない。
友達以上の扱いをされたと思って、私が戸惑っても仕方がないと思う。
「正解は、百三十七段だよ」
「ふーん」
気のない返事を返すと、「かわいい顔が台無しだよ」とルカが顔を覗き込んだ。
いつの間にか脹れっ面になっていたのは認める。
でもそれはすぐに、心をくすぐるセリフに塗り替えられた。
おまけに、頬を両手で包み込んでグレーの瞳が見つめるものだから、内臓全部がひっくり返ってしまうんじゃないかと思うほどの衝撃に襲われた。
かといって、その手を振り解く余裕はない。
ただ固まってルカにされるがままの私だった。