イケメン貴公子のとろけるキス

◇◇◇

スペイン広場の周りでウインドーショッピングを楽しんだ後、ゆっくり歩くこと十五分。
次にルカが連れて行ってくれたのは、トレヴィの泉だった。

街中に突然出現するといった感じの、ちょっと日本では考えられないような造りで、びっくりするくらい当然のようにそこにあった。
文化遺産は生活の一部。
改めて、日本とイタリアの違いを思い知らされたような気がする。


「コイン投げ、するよね?」


泉を指差して、ルカがニッコリ。

確か、背を向けてコインを投げ入れると、またローマに来られるんだったっけ。
たかが伝説。
されど伝説。
ルカとこうして街をまた歩けたら楽しいだろうなという、ちょっとした希望も手伝ってうなずいた。


「うん、やる」


バッグからコインを取り出して、いざ背を向けた。
すると、隣で同じくルカが背を向ける。


「ルカもやるの?」


ルカはここに住んでるのに。
再訪を祈る必要はないのでは?

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