イケメン貴公子のとろけるキス
ルカは当然と言う表情で、「せーの」と掛け声をあげた。
突然の行動にあたふたしつつルカに合わせ、祈りを込めてコインを手放した。
――また来られますように。
強く祈った。
「ミナ、もう一度やるよ」
「……もう一回?」
ルカが再びコインケースを漁る。
コインが泉を外しちゃったのかな。
わからないまま、私も財布からもう一枚コインを取り出した。
ルカの声に合わせて、二度目のコインを投げる。
今回もまた、ローマ再訪を願うのかな。
チラっとルカの顔を盗み見ると、目を閉じて何かをつぶやいていた。
しばらくして瞳が開かれる。
「二度目はね、恋の願いを叶えてくれるんだ」
「恋愛成就?」
「……レンアイジョウジュ?」
ルカが目を丸くして小首を傾げる。
「あ、ううん。ルカってば、それを先に言ってよ。願い損ねちゃったじゃない」
「ゴメンゴメン。今からでも間に合うよ。さあ」
片手はルカに握られて、もう片方の手を胸に当て、ふたり一緒に祈りを捧げる。
――素敵な恋が訪れますように。
見えないコインの行く先に、願いを込めた。