イケメン貴公子のとろけるキス
こんなに力を込めてなにかを引っ張るのは、小学生や中学生の頃の運動会以来だ。
綱引きの要領で腰を入れて踏ん張る。
エイヤ! と本気で引っ張ったところで、ようやくスポンとルカの腕が抜けた。
「よかっ……」
喜びの声を上げようとしたところで思いとどまる。
肝心の手を見てみると、なんと指はきっちり五本揃っていたのだ。
もちろん、血なんて物騒なものも流れていない。
私は騙されたのだ。
「……もう、ルカなんて知らない!」
その手を突き放し、ルカに背を向けて歩き出した。
「ミナ! ゴメン! ちょっとからかっただけなんだ」
ルカがすぐに追いついて、私を回れ右させて振り返らせる。
本気で心配したのに。
本当に指を切り落とされちゃったのかと思ったのに。
「ゴメンね。ミナの怒った顔を見たくて……つい」
ルカが眉尻を下げて困った顔をする。