イケメン貴公子のとろけるキス
「さっきは『怒るな』って、『台無しだ』って言ったくせに」
ところがルカときたら、「ミナが悪いんだよ」と私のせいにした。
いったい私がなにをしたというのか。
「どうして?」
つい強い口調で問いただす。
「怒ったときの目がセクシー過ぎるから。笑顔も好きだけど、ミナの怒った顔も好きなんだ」
「なっ……」
しっぺ返しをされた気分だった。
そんなことを言われてしまっては、怒りは一気に影を潜める。
それはもう瞬殺だった。
ルカに真っ直ぐ見つめられて『好きだ』なんて言われたら、誰だってそうなるに違いない。
「でも、ミナがそこまで心配してくれて嬉しい」
そのまま抱き寄せられた。
ルカはずるい。
たったひと言で、私を怒った顔にも笑顔にもしてしまう。
たったひとつの動作で、私の心を捕まえてしまう。
好きになっちゃいけない。
そうブレーキをかけても、それ以上にアクセルのほうが強力だった。
旅先の出会いなんて、約束された未来のないほんのひとときのものなのに。
ルカに向かう気持ちは、時間が経つにつれて大きなものになっていった。