イケメン貴公子のとろけるキス
それを待つ間にも、早鐘で心臓がオーバーヒートしてしまうんじゃないかと思った。
いよいよ私のところへルカが来る。
小夜さんと握手をした彼が、私の前に立った。
光を見ているわけでもないのに、ルカがとても眩しくて直視できない。
「ミナ……Mi sei mancata」
空港で私を初めて出迎えてくれたときの言葉だった。
今の今まで日本語で話していたのに、急にイタリア語なんて。
それじゃ私は理解できない。
握手のつもりでそっと手を差し出すと、ルカがその手を強く引っ張る。
そして次の瞬間には、ルカの腕の中にすっぽりと収められてしまった。
思いがけないことに、声も出せなかった。
その代わりに、部署内から「キャッ」という小さな声が上がる。
なにが起きたのか、私にはすぐにわからなかった。
「ちょっと、ルカ! やりすぎ!」
小夜さんからたしなめられて、ルカは私をパッと引き離した。
「ごめんなさい」
ルカが肩をすくめると、小夜さんは「ほんとしょうがないんだから」と呆れ顔を浮かべる。
ほんの数秒の抱擁で、私の心は完全に彼へと舞い戻ってしまった。