イケメン貴公子のとろけるキス
すでに感づいている滝本くんには、誤魔化したところで一蹴されるだけ。
それがわかっているからこそ、下手なことが言えなかった。
「ほんっと、日本の女ってコロッと騙されんのな」
「だ、騙されてなんて! ……いないと……」
勢いよく飛び出した言葉は、最後のほうは声にすらならない。
「お互いの合意の上だったし。あれはアバンチュール」
私だって割り切っていると、滝本くんには言いたかった。
旅のいい思い出として残ってるだけで、それ以上のことはない、と。
ところが事実が伴なっていないだけに、真実味がまったくない。
「あんまり甘い顔見せると、国籍に関係なく男はつけあがるぞ」
「ふーん。それは滝本くんもってこと?」
からかい口調で言うと、滝本くんは目を細めて私を睨んだ。
「ミナ!」
不意にどこからか私を呼ぶ声が聞こえた。