イケメン貴公子のとろけるキス
営業部ということもあって、なにごとも物怖じせずはっきりとしている。
確か彼女も数年前、ローマ支社にいたことがある。
久しぶりの再会ということみたいだ。
ルカは見知った顔だとわかると、彼女を軽く抱きしめた。
美穂さんから頬を寄せられて、ルカもそれに応じていた。
そんなふたりを見て胸に痛みが走る。
まるで強大な握力で、心臓を捻り上げられたようだった。
私にだけじゃなかった。
「元気にしてたの? メールだけじゃ、本当のところはどうかわからないから心配してたんだよ」
美穂さんがすねたように言う。
ふたりは、メールでやり取りをする仲なのだ。
イタリア旅行の後、私には一通も送られていない。
「滝本くん、先に戻るね」
ささやき声でそう告げ、席を立った。
仲良く再会を楽しむふたりを見ていられなかった。
イタリアでのことが忘れられずにいたのは、私だけ。
ルカに恋焦がれていたのも、私だけ。
それが判明した、苦いばかりのランチタイムだった。