イケメン貴公子のとろけるキス

◇◇◇

「なになに? 次の企画は“パワースポットめぐり&神社仏閣に出かけよう”?」


来年春からの旅行の企画書を練っていると、隣から小夜さんがパソコン画面を覗き込んだ。


「あ、はい……」

「ずいぶん前から女子には人気だもんね」


“ずいぶん前”……。
そうなのだ。
今さらな企画。
とりたてて目新しいものじゃない。


「なにか悩みごとでもあるの?」

「……はい?」

「お客様じゃなく、自分が癒されたいとか」


思い当たる節だらけだった。
広いフロアの向こうで、女性スタッフと楽しげに話すルカの姿を見つけて、ため息を吐いた。

彼がイタリアから日本へ来て一ヶ月。
もともとの人懐こい性質も手伝って、ルカはあっという間に馴染んでしまった。
その上、女子社員のルカを見る目も尋常じゃない。

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