イケメン貴公子のとろけるキス
「ごめん!」
咄嗟に両手を合わせて謝る。
「……彼氏だって……言っちゃった……」
「はぁ?」
滝本くんの片方の眉が、まるで釣り糸で引っ張られたように吊り上がった。
「ごめん、迷惑だったよね」
身体を縮ませ、滝本くんの顔色を窺う。
すると彼は、さらに眼光を鋭くさせた。
『大迷惑だ』とその目が言っていた。
「ふたりって、もしかして付き合ってるの?」
突然そんなことを言い出したのは、私の向かいに座っていた麻巳子だった。
私が言った『彼氏』というワードに食いついたみたいだ。
そのひと言に、周りのみんなも引き寄せられたように一斉に私たちを見た。
そんなに強力な磁力を放った記憶はない。
「そうなのか?」
町田くんが目を大きく見開いた。
その表情に喜びが見て取れる。
同期の中からカップルが生まれるのが嬉しいのは、なんとなくわかる。