イケメン貴公子のとろけるキス

でも違うのだ。
口から出たでまかせだったのだ。


「付き合ってない」


滝本くんがきっぱりと否定してくれた。


「ミナはタイプじゃない」


そこまではっきり言わなくてもいいのにと思ったものの、そもそも悪いのは私だと思い直した。
手っ取り早く滝本くんを偽りの彼氏にしてしまったのだから。
尖りかけた唇を元に戻す。


「なんだ、そうなの? てっきりそうなのかと思っちゃった。あ、付き合ってるといえば、滝本くんたちのところに来たルカって人と営業の吉井美穂さん、ふたりはやっぱりそうなのかな」


麻巳子の新たな発言で話題は一気に逸れた。
けれど、そこにルカが出てきたものだから、私にとってはさっき以上に困る話題だった。


「単なる噂だろ」


滝本くんが意味ありげに私をチラッと横目で見てから、麻巳子に答える。


「そうかなぁ。でも社内で見かけるふたりはかなり親密そうだよ?」

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