イケメン貴公子のとろけるキス
◇◇◇
今のは何杯目のロゼだったか。
ふわふわとした心地になった頃、私は生理現象に従ってレストルームへと立った。
「大丈夫か?」
滝本くんの声に背を向けたまま「うんうん」とうなずき、テーブルの並ぶ店内を横切る。
まだしっかりしていると思っていたものの、足元がなんだかおぼつかない。
レストルームの近くのテーブルだったらよかったのになんてことを思いながら用を足し、大きな鏡に映った自分の顔を見た。
……ひどい顔。
ひと目でそう思うほど、最悪のコンディションをした顔だった。
腕時計を見てみれば、時刻は九時半。
今夜は二次会を遠慮して、先に帰ろう。
そんなことを考えながらドアを開けたときだった。
男性用のレストルームのドアが同じように開き、そこからなんとルカが出てきた。
私を見て、大きく目を見開く。
「ミナもここにいたの……?」
やはり私にはまったく気づいていなかったようだ。
「……あ、うん。ルカはデートでしょ?」
ここからちょうどよく見える美穂さんの背中を指差してみせた。