イケメン貴公子のとろけるキス
ルカが少し苦い表情を浮かべる。
嫌なところを見られてしまったというところか。
もしかしたらルカの中に、イタリアで私との間にあったことが彼女の耳に入ることを恐れている部分があるのかもしれない。
そんなことをふと思った。
それを危惧して、私と美穂さんとの接触を避けたいのかも。
「ルカ、心配しないで。彼女に余計なことを言うつもりはないから。ほら、その……イタリアでのことは、ちょっとした過ちっていうか。私も全然気にしてないし。お互いに忘れようね」
酔っ払っているにも関わらず、我ながらずいぶんと饒舌だ。
シラフのときだって、これほどポンポンと言葉は出てこない。
まるで口先だけが別の動きをしているような、そんな感覚だった。
ふたりの邪魔をするつもりはないんだということを強調したつもりが、ルカの顔は曇ったまま。
それじゃいったい、なにを言えばいいというのか。
「おい、大丈夫か? なかなか戻ってこないから――」
突然現れた滝本くんは、私がルカと一緒だということに気づいて言葉を止めた。
そして、くるりと方向転換し、なにも見なかったかのように私たちに背を向けた。
「ちょっと待って、滝本くん」
咄嗟に呼び留める。