イケメン貴公子のとろけるキス
「本当は――」
言いかけたところでルカに抱きしめられた。
懐かしいシトラス系の香りが匂い立った。
その香りに導かれるように、イタリアでのことがフラッシュバックする。
それがさらに、私の中のルカの存在を大きくさせた。
「……Mi sei mancata(ミセイマンカータ)」
「その言葉、どこで覚えたの?」
ルカの腕の中で小さくささやくと、彼は驚いて私を引き剥がした。
「空港で初めて会ったとき、ルカが言ってくれたでしょう? 去年の十二月に日本に来たこと、どうして黙ってたの? 名刺の裏に隠されたメッセージも」
「あれ、見つけてくれたの?」
私がうなずいた途端、ルカの顔がパッと明るくなる。
机の引き出しにずっとあったのに、一年近く経つまで“ルカの存在”に気づかないでいたなんて。
あれをもっと早く見つけていれば、ルカにひどい言葉を浴びせずに済んだかもしれないのに。