イケメン貴公子のとろけるキス
それなら私もそうだ。
それをたてにしてルカにキスしたのだから。
そんなに素敵な嘘なら、何度だって騙してほしい。
その嘘がなかったら、きっと私たちはこうしていなかった。
「……そんな嘘を吐いてくれて、ありがとう」
「ミナ……」
もう一度、ルカが私を引き寄せる。
まるで真綿を扱うように優しく抱きしめた。
伝わる体温がものすごく愛しい。
このままルカと一体化してしまえたら、一秒だって離れずに済むのに。
咳ばらいが近くから聞こえて、ふと我に返る。
そちらを見てみれば、そこには小夜さんが腕組みをして立っていた。
呆れた表情にどことなく笑みを滲ませる。
「ここは日本ですよ、おふたりさん。しかも社内でラブシーンなんて繰り広げないで」
周りを見てみれば、退勤時間はとうに過ぎていたから社員の姿は少ないものの、あちらこちらから好奇の眼差しが向けられていることに気がついた。
急いでルカから離れようとしたけれど、ギュッと抱きしめられたまま動けなかった。