イケメン貴公子のとろけるキス

「……ルカ!」


トントンと胸を叩く私を、更に強く引き寄せる。


「無理だよ、小夜。イタリアにいたって日本だって、ミナを愛しく想う気持ちに変わりはないんだから」


ルカが平然と言ってのける。
恥ずかしすぎる彼のセリフに、顔が一気に赤く染まった。


「どうしようもないおふたりさんね。それならここじゃなくて別の場所でやってくれない? 目の毒だから」

「……いいんですか?」


パソコンは電源を切ってないし、デスクの上も散らかしっぱなし。
退勤できるような状態ではないのだ。


「仕方ないから私が片づけるわよ。そのかわり、ルカとミナにはそれぞれ貸しイチだからね」


小夜さんはいたずらっぽくそう言うと、私たちに背を向けて右手をヒラリと振った。

滝本くんにも借りイチ。
小夜さんにも同じく借りイチ。

膨らんでいくいっぽうの借金に眩暈を覚えながらも、ルカと顔を見合わせて笑った。

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