人事部の女神さまの憂い

「なに、考え込んじゃって。そういえば、柏木さんが侑里によろしくって言ってたよ」

びっくりすることに、このタイミングで巧の口から「柏木さん」というワードが飛び出した。

「え、柏木さんって、何で」

動揺してたずねると

「バイト先の所長。この前、焼肉食べたじゃん。今日帰り際に、これから侑里とご飯食べに行くって話ししてたら、ゆりちゃんによろしくって」

なんだ、雑談でちょっと名前が出た程度か、とほっとした半面、一瞬期待してしまった自分に落ち込んだ。

巧はご飯に夢中で、そんな私の様子は目に入れないまま

「柏木さん、結構侑里のこと気に入ってんじゃないかって思うんだよね」

嬉しいことを言ってくれる。ちょっと顔が緩みそうになるのを必死で抑えながら聞いてみた。

「え、なんで?」


< 155 / 471 >

この作品をシェア

pagetop