人事部の女神さまの憂い

これ以上、柏木さんに近づくと危ないと警戒する気持ちの反面、私の心臓はドキドキしまくっていた。

そして、久しぶりに感じるこの胸のトキメキに抗うことができず

「お邪魔します」

そういって車に乗り込んだ。

シートベルトをするまで、じっとこちらを見ていた柏木さんは

「よかった。じゃあ、いくよ」

とだけ言い、すぐに車は走りだした。



「そろそろ番号、教えてくれてもよくない?」

シートベルトを締めたのを確認して、車を発進させた途端、柏木さんに言われた苦情。そう言われて初めてSNSでしかやり取りをしていなかったことに気付いた。

「あ、すみません。そんなタイミングもなく・・・」

そう言うと柏木さんは、はぁっと深いため息をついた。そして、独り言のようにつぶやいた。


「タイミングって・・・。まぁ、今日会えたからいいか」


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