人事部の女神さまの憂い

静かな空間で、ただひたすら感じるのは頬にある手のあったかさと、頬を撫でる親指の優しい動き。

その心地よさに思わず目を閉じてしまっていた。

すると、不意に頬から温かさが消え、ぎゅっと強く抱きしめられた。

「ゆりちゃん。ごめん。聞いて。すごいカッコ悪いんだけどさ、俺こういうの慣れてないの」

その言葉に

「また嘘・・・」と言いたくなって身じろぎをすると、更にちょっと痛いくらいぎゅっと腕の力を強められてしまった。

「だから、聞いて。余計に怒らせちゃうかもしれないけど、聞いて欲しいんだ。確かにさ、ゆりちゃんの言う「遊んでる」ってのも、否定できないのかもしれないんだけど、こうやって今、ゆりちゃんのこと離したくないって思ってるのは、そういうのと全然違ってて。自分から誘ったりとか、自分から欲しいって思うの、ほんとに慣れてないんだよ。だから、どうすればいいかわかんなくって・・・。嫌な気分にさせちゃったのはゴメン。言いたいこと、伝わってるかな」

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