人事部の女神さまの憂い

ここは仕事できてるんだ、そう言い聞かせて必死に涙はこらえも、身体が震えていることは腕を組んでいる藤木さんにはバレバレ。

すぐに組んでいた腕をはずされ、震える手をぎゅっと握って

「もう出ようか」

会場から連れ出してくれた。

そこでようやく、ふぅーっと息を吐きだすことができた。

「あははー。完敗ですね」

乾いた笑いとともに、そう漏らすと

「いや、そうでもないだろ」

間をおかずに、そう返事が返ってきた。びっくりして、藤木さんを見上げると

「ちょっとは落ち着いたか?」と頭に手を置かれる。

藤木さんの言葉が気になって、流れそうになっていた涙はこぼれ落ちずに済んだ。

ただ、じっと藤木さんを見つめていると

「よし、ちょっと次いくぞ」と手を引かれた。



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