人事部の女神さまの憂い



「本当に、本当にありがとうございました。移んなくって、よかったです」

土下座に近い形で藤木さんに向かって頭を下げると、クシャっと撫でられた。

「もう俺に足向けて寝れないだろ」

そう言って口の端を上げて笑う藤木さんは悪ガキに見える。

藤木さんの看病のおかげですっかり回復して翌週からは出社することができた。休み中に溜まりにたまった仕事を片付けた週末。藤木さんへのお礼のために、今日は家で飲むことにしたのだ。

着替えさせてもらったり、抱き着いてねちゃったりと自分でも信じられないくらい散々恥ずかしいとこばかり見られたので、顔をあわせるのも気まずいなと思っていたものの、藤木さんはそんなこと何の気にもしてない風だったのでとっても助かった。今日は精一杯のお礼にと、藤木さんお気に入りの焼酎と、その地方の名産品をお取り寄せしていた。


「お前、料理するんだな」

「するってほどでもないですよ。それ焼いただけですから」

お皿に乗せた牛タンを指さすと

「お前、基本外食かデリだろ。絶対料理できないんだろうなって思ってた」

真顔で失礼なことを言ってくる。
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