人事部の女神さまの憂い

そこまで言うと

「巧くん?一緒に飲もうよ」

妖艶な笑みを浮かべている藤木さん。その顔が無駄に色っぽくって

「だ、か、ら、弟誘惑しないでください!!」と言うと

「しねーよ。ほら、ニシユリ、コップもって来いよ。俺にも氷」

偉そうに命令された。すっかり暴君モードだと思っていると

「ほら、突っ立ってないで飲もうぜ。あれ、酒飲めない口?」

まるで自分の家かのように話を進めていらっしゃる。巧も状況がイマイチわからないなりに従っていて、コートと鞄を置いてラグの上に腰かけていた。

「あ、着替えゴメンね」

自分の着ているTシャツをつまんで言う藤木さんに

「いえ、むしろそんなんでスミマセン」

ちょっと赤くなっている巧。その様子を見ながら、巧の混乱の元に思いいたった。

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