人事部の女神さまの憂い

心配させちゃいけないと思って、にっこり笑顔をつくると

「大丈夫か?じゃあ俺、そろそろ帰ろっかな」と立ち上がった。

「えー、藤木さんもうちょっと色々話聞かせてくださいよ」

すっかり人たらしの藤木さんの術中にはまった巧だけど

「また飲もうぜ。オフィスも一緒なんだし」

スルリかわして、手慣れたように寝室に入っていき、もともと着ていたオシャレなスーツに着替えて帰って行った。




「で?この状態で付き合ってないっていうの?めちゃくちゃ、いい男じゃん」

藤木さんが帰るなり、ちょっとここに座れと言われて、巧の詰問にあっていた。

「いや、本当にそういんじゃなくって。藤木さんは入社した頃からかわいがってくれてて、お兄ちゃん?みたいな感じ?」

自分で言って、お兄ちゃんかぁとちょっと淋しい気持ちが湧いてきた。藤木さんにとっては妹分でしかないんだろうな、と。

はぁ、とため息をついたところで

「柏木さんは?」ストレートに聞かれてドキっとした。


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