人事部の女神さまの憂い


その翌週半ば。

残業をしていると席までやってきた藤木さんが

「お前、今日もうあがれよ」

いきなり指示してくる。

「まだもうちょっとかかるんですが」

「じゃあ30分以内。終わったら俺のデスク寄れ。1分でも過ぎたらボーナスカットな」

暴君らしく意味不明な命令するので

「横暴!」と思わず声に出してしまって、ちらっと周囲をみると近くで久保くんも残っていてこちらを見ている。一応これでも副社長だし、私もニシユリモードだから会社では気をつかってたのにと思って、取り繕って久保くんに笑みを見せると

「大丈夫です。僕ももうすぐ終わるんで」

大人な返しをされてしまった。長く一緒にやっている分、久保くんにはニシユリモードじゃない普段の私もだいぶバレているのだ。

ちょっと気まずいなと思いながらも、まず今やっている資料をまとめちゃわないと、とPCに向き合うと、じゃ後で、と肩をポンと叩いて藤木さんが出ていった。

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