人事部の女神さまの憂い

藤木さんはすっかりいつも通りくつろいで1人で飲んでいた。

「冷蔵庫のキムチつかったぞー」

と言われてテーブルに目を移すと、アヒージョっぽいもの、肉みそが乗ってる冷ややっこ、豚キムチが並んでいた。冷蔵庫をあけるのも抵抗なく、食器やコップがどこにあるかも既に自分の家のように知っている。

「藤木さん料理できるんですね。美味しそー」

言いながら着替えて料理に手を伸ばそうとすると、はい、といつもとは逆で焼酎の入ったグラスをもってきてくれた。なんか、いいなーこういうの、と顔がにやけていると

「そんな腹減ってんのか。喰え、くえ」

と勧められる。食べてみると、普通に美味しい。

「アヒージョって家でつくれるんですね」

「お前、ほんと料理しないだろ。それ、すげー簡単だぞ」

「どこで、こんな料理覚えるんですか?」

何気に聞いてしまってから余計なこと聞いちゃったなと後悔する。そりゃ数多いる彼女の中には料理上手さんもいるだろう、とへこんでいると

「今度提携するとこのアプリ。わりと簡単で上手いレシピのってるぞ。お前もちょっとはそれ見て作ったら?」

予想とは違う答えで、ほっとした。


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