人事部の女神さまの憂い
これまで頻繁に飲みに来るようになって、ジャージとかパーカーとか、充電器とか細々とした藤木さんの荷物が増えていってはいたものの泊まっていくことはなかった。
そして、もちろんだけど、残念ながら私たちの間に甘い雰囲気なんてなくって、男女の関係になんてなっていない。あくまでも妹、というより最近では完全に居酒屋がわりとしかみなされてない気すらしている。
だから泊まると聞いてドキっとしたものの、家の方が会社に近いし面倒なだけなんだろうな、と考えを巡らせ、がっくりしてしまった。
なんか私、欲求不満みたいじゃないか、とがっくりした自分にへこんでいると
「寝ちゃう前に布団だしてよ」という暴君。
誰もまだ泊まっていいって言ってないのにと思いながらも
「寝室のクローゼットの上にはいってるんです。もう体力ないんで勝手に出してください」
逆らうことはあきらめて、早く寝る準備をしちゃおうと洗面所に向かうと、俺も歯磨くといって自分のものらしき歯ブラシを出してきて一緒に並んで歯ブラシをする。なんなんだ、この光景はと鏡にうつる自分と横にいる藤木さんを見て不思議な気分。なんか完全にカップルに見えるんだけど、そうじゃないんだよなとテンションが落ちてきた。