人事部の女神さまの憂い

なんだか初っ端から居心地の悪い思いをしていたが、式が始まる直前に戻ってきた藤木さんに

「悪い。あいつら高校のサッカー部の連中なんだ」

と謝られた。そしてさらに

「今日来てるやつら大輔と仲いいだけあって女にすぐちょっかい出すから気を付けろ」

ご丁寧に忠告までいただいた。そういえば立花さん「ヤリチン」だったんだと思い出して、ぷっと吹き出すと、怪訝な顔で見られる。こっそりと藤木さんの耳元で

「ヤリチンのお友達ですね」

と言うと、ぶはっと盛大に吹き出してしまった。まだ新郎も新婦も入場前だったのでよかったが

「静粛にお願いします」と注意を受けてしまい盛大に睨まれた。


立花さんが「見せびらかしたい」と言っていたようにシンプルなエンパイアドレスを身にまとった香織さんは神々しいくらいに美しくて、立花さんと微笑みあう姿は本当に幸せそうで。

何度もプロポーズを断りながらも、ずっとそばにいてお互いが支え合っていた2人。きっとこれから、もっともっと幸せが増えていくんだろうなと思うと胸が込み上げてきて思わず涙がこぼれた。慌ててハンカチで涙を押さえていると、そっと手を握られて、手の主である藤木さんを見上げると珍しく感極まったような顔をしている。藤木さんこそ、ずっと2人のそばにいたから、私なんか以上に想いがたくさんあるだろうなと思い、その手をぎゅっと握り返した。



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