人事部の女神さまの憂い

披露宴では簡単なスピーチはあったものの、お料理とそれぞれの人との時間を大事にしたいという2人の希望で余興はなし。その分、テーブルが違う人とも話すようなアットホームな雰囲気になっていた。

私が座っているのは藤木さんはじめ、会社の役付の人たちのテーブル。私だけまだマネージャーなのが申し訳ないなと思いながら、皆さん知った仲なので創業時の立花さんと香織さんの大喧嘩の話とか、フロアで香織さんに立花さんが怒鳴られてたとか、昔話で盛り上がっていた。そして、そこにさっきロビーでも声をかけられた「ヤリチンのお友達」がやってきた。

きっとあの人が立花さんがおこぼれ貰ってたイケメンの友達だろうな、とか勝手に予想しながら見ていると

「ゆりちゃん、だっけ?」

手に持っていたシャンパングラスを1つ渡された。ありがとうございます、とお礼をいうと、乾杯という風にグラスを掲げられる。こういうキザな仕草が板についているな、と冷静に観察していると

「ニシユリ、あんまり見るな。5秒以上目が合うと持ち帰られるぞ」

頭を掴んで藤木さんの方に顔を向けられた。乱暴だなーと、その扱いにふてくされていると

「いいじゃないですか。俺も今独身だし。お近づきの印に」

と素早く名刺を差し出される。

< 445 / 471 >

この作品をシェア

pagetop