人事部の女神さまの憂い
こういうとこも慣れてるな、と思いながら受け取ると大手商社の名刺だった。なるほど、この顔で、この名刺。そりゃ女の子も簡単に釣れるんだろうな、と思ってもう一度観察していると
「だから見るなって」再び頭を掴まれた。
「乱暴です」「危険だ」藤木さんとにらみ合っていると
「やっぱり藤木先輩のなんですか?残念。まぁ、先輩のタイプど真ん中ですよね」
いきなりびっくりした言葉が飛んできた。タイプなはずないでしょ、と思いながらもニンマリとしていると
「お前、うるさい。独身ったって浮気ばれて離婚されたばっかりだろ」
藤木さんが反撃に出ている。なるほど、と変に納得していると
「今やっぱり、って思ったでしょ。意外に思ったことが顔にでるね。カワイイ」
とからかわれる。イケメンにカワイイって言われて照れてしまっていると
「ニシユリも、こいつの言うこと真に受けるな」
厳しいお言葉が。
そりゃあれだけ一緒にいても手出す気にもならないくらいタイプでもかわいくもないんでしょうよ、といじけた気分になっていると
「そうそう。この後、俺ら近くのバーで2次会しよって言ってるんですけどどうですか?先輩もゆりちゃんも」
からかいに来ただけじゃなくって、どうやら2次会のお誘いに来てくれたようだった。