人事部の女神さまの憂い
安田さんは立花さんたちよりも4つか5つくらい上で、創業後に立花さんが無理矢理お願いしてひっぱってきたというエンジニア。
「たしかにベンチャーに転職って、奥様不安もありますよね」
「でも俺がやりたいって言ったら最悪私も仕事復帰するからって背中押してくれてさ。ほんと頭上がんないよね」
そういう安田さんはすごく幸せそう。お互い支え合う、信頼関係で結びついている夫婦って素敵だなって思う。私もいつか、誰かと、できれば藤木さんがいいけど・・・、こんな風になれるのかな。そんなことを思いながら安田さんと話していたら
「そろそろ俺らも、あの2人とこ行こうか」
同じテーブルの皆さんが立ち上がり始めた。
私も一緒にソファー席にゆったり座っている2人の元に向かうと他のゲストに笑みを見せている2人。幸せいっぱいの香織さんの微笑みは、私が初めて見て一目ぼれした時のような威力を持っていた。
「おめでとー」
「立花、やっとだな」
「香織ちゃんキレイだよ」
皆さんがお祝いを口々にいう中、その魅力に惹きつけられるように
「香織さん、感動しました~」
香織さんに抱き着くと
「ニシユリ、離れろ」
横から立花さんにひっぺがされてしまった。すっかりいつものやりとりだな、と苦笑いしていると、はい、と言って香織さんが手に持っていたブーケを渡された。