人事部の女神さまの憂い

「お前着替えたりするだろ?準備できたらドアたたいて」

そう言って隣の部屋に入っていた藤木さん。披露宴を終えて、このまま2次会に行くというサッカー部の皆さんに囲まれていたものの軽くあしらって一緒にホテルまで戻ってきた。せっかくの機会なのによかったのか聞くと

「だって約束だったろ?」と当たり前のように言ってくれた。

海を見ながら2人でお酒が飲めるなんてロマンティックだなーと結婚式での幸せ気分をひきづりながら、シャワーを浴びた。

いつも部屋で来ているようなラフな服に着替え、軽くメイクをして隣のドアをノックしたのは1時間もたっていなかった。藤木さんも私の部屋にいるような、ハーフパンツにパーカーと気の抜けた格好をしていて、くすっと笑いが漏れた。

「なんだよ」

「だって、さっきの正装とは全然違うから」

「お前こそ、別人レベルだからな」

バカにされる。腹立つなーと思いながらも手に持っていた袋を掲げて

「どこで飲みます?」と聞くと

「海辺もいいなと思ったけど、うるさい奴とかいそうだし、ここにしようぜ」

部屋の奥のテラスを指さされた。その先を見ると、海が一望できるテラスにウッドチェアとテーブルがセットされている。

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