人事部の女神さまの憂い
「2人の人柄なのか、あったかい式でしたね」
「結婚式って堅苦しい話聞きながら飯食うだけのイメージだったけど、のんびりできて、よかったよな」
「ほんとに。会場も素敵だったし。あそこで昔プロポーズしたとか、立花さん意外にロマンチストですよね」
普段いろんなことに無頓着で香織さんに怒られている様子を見ているので、わざわざオシャレなレストランでプロポーズしている立花さんが想像できなかった。
「いや、どっちかっていうと香織のリクエスト。学生の時に、海辺のレストランとかでプロポーズされたいとか言ってたらしいよ。それで、大輔にどっかないかって聞かれて、あそこ教えたの俺だもん」
「うわっ、なんか藤木さんが美女たちと遊んでたとこかと思うと感動半減ですね」
せっかくロマンチックな気分だったのに台無しだ、と藤木さんを見ると、ちょっとバツの悪そうな顔をしている。幸せ気分を返せと思いながら、グラスの氷をつついていると
「なぁ。お前、結婚したい?」
思いの外あらたまった声にびっくりして顔を上げると、じっと藤木さんに見つめられている。ちょっと居心地が悪くて、できるだけ明るい声をつくった。
「そりゃ、したいですよ。今日のお二人見ると余計に。できることなら素敵な旦那様がいて、子どもがいて、3人で子ども真ん中にして手つないで歩く、みたいなことしたいなって」